7/09/2015

[2015/07/09] Reggae Dayにサウンドシステムについて語る

毎年7月1日はInternational Reggae Dayです。
今年も世界各地でレゲエについてのイベントが催され、ここキングストンでは様々な角度からレゲエについて話し合うカンファレンスが行なわれました。レゲエの重要な要素一つ、サウンドシステムについてももちろん語られていたのですが、その記事が先日のSunday Gleaner紙でまとめられていたのでご紹介します。

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Reggae Day analyses sound systems   - Reggae Dayにサウンドシステムについて語る -

1950年代からサウンドシステムはジャマイカの文化として輝いてきました。サウンドシステムはジャマイカ音楽が世界にアピールするのにとても重要な役割を担っています。しかしながらここ数年サウンドシステムカルチャーが廃れてしまっているという危機がささやかれています。

人気のサウンドシステム、Bass OdysseyのYaniq Walfordはサウンドシステムカルチャーは健在だ、と言います。先日International Reggae Dayで行われたカンファレンスでそれについて意見を述べました。

「かつての盛り上がりはないとはいえ、サウンドシステムカルチャーは死んでいないし、もちろん生き続けています。」と言います。Walfordはサウンドシステムがジャマイカ文化の代名詞と呼んでも過言ではないだろうし、今後もずっと続いて行くものだ、と指摘しました。

「サウンドシステムを定義することは難しいし、しばしば誤解されることもある。けれども絶対に間違わないことは、この文化がどこから来たかということ、ジャマイカは常にサウンドシステムのホームだし、それだけで続けて行くことができる文化があります」

新しい時代
しかしながら現代はデジタルの時代であり、それにあわせてサウンドシステムも変わって行かなければいけないと述べます。「サウンドシステムには助けが必要です」というのも、Noise Abatement Act(=騒音排除条例)がサウンドシステムの存続に影響している、という観点で指摘しました。

Walfordはほとんどのサウンドシステムの稼ぎはダンスの営業からだと説明します。またこの条例がイベントが行われるのに人々を安上がりな方向へ導いてしまっていると言います。
「サウンドシステムを呼んでプレイしてもらうよりも、パーティでパソコンを持ち込んで音楽をかけてくれるDJのほうが好まれつつある。それが安く済むし、パーティは午前2時で終わる。これがよくないのです。そして人々は2時になったら終了してしまうパーティにお金を使わないのです。」

また、「もし時間が延長されたら、みんなももっとそこで費やす時間やお金に対して価値を感じると思う。」と付け加えました。

彼女は自分たちをサウンドマンだと呼ぶDJ達が本物のサウンドシステムのブランドを傷つけているとも言います。
「彼らは自分自身をサウンドシステムのプレイヤーだと呼ぶのをやめるべきです。機材を使いこなせないのならチームを作って動かすべき、もしくは少なくともボックスを持つこと。そうすればまあ、サウンドシステムと呼んでもいいんじゃないかと思う」

この発言に音楽業界のベテランGussie Clarkeはこれに賛同し、また、レコーディングにおける質の問題に発展させました。

「ジャマイカには保存していくべき価値と音楽がある。我々は音を製作し、そしてそれを音楽として世に出して行く。我々がもっと慎重にならなければジャマイカは我々を定義するこの大切な音楽を失うことになってしまう」と発言しました。

Walfordに戻り、また彼女はPayola(*)についても述べました。「Money Pull-upがこのビジネスをダメにしている。人々は音楽を聴くためにダンスに行く。ところが一人の人間が同じ曲を何度もかけるようにセレクターにお金を払ったら、サウンドシステムが提供するべき音楽の多様性を殺してしまう」

*Payola:お金を払って特定の曲をかけてもらうこと。サウンドシステムだけでなく、ラジオDJなどもお金をもらって曲をプレイしているなど言われており、ジャマイカでは大きな問題となっています。

今年のInternational Reggae Dayはジャマイカのサウンドシステムが与えている音楽と文化の発展と国際化へのインパクトについて称えました。また、今年のIRD 2015 Awardsにはジャマイカのサウンドシステムの革新者であるKing Jammy、Stone Love Movement、Merritone Music、Prince Bustor's Voice of the People、故Louise Fraser Bennett そして日本のサウンドシステム、Mighty Crownに送られました。

記事原文:http://jamaica-gleaner.com/article/entertainment/20150705/reggae-day-analyses-sound-systems
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ダンスは2時で終了、という条例が出来たのは騒音の面からもありますが、ダンスホールの中でも聞きたくない/自分の子供には聞かせたくない曲(リリック)が増えて来ているから、というのもあります。人々が真面目になってきているとも言える一方で、フリーキーな曲が増えているのも事実ですからね・・・。

また若い子たちは安全なクラブに行き、レゲエだけでなく様々なダンスミュージックがかかるパーティを好むのも人々の行動が変わりつつある証拠です。(アメリカの影響が大きいです)

レゲエが世界的に素晴らしい音楽として認められていることはわかっていても、サウンドシステムがその大事な要素の一つであること、ダンスに行かないジャマイカ人は全然知りません。先日、ジャマイカのブルーマウンテンが世界遺産に登録されましたが、レゲエはたまたサウンドシステムの文化が世界に誇れることをもっとアピールすることも大切なんでしょうね。

Mighty Crownが表彰されたのは嬉しいニュースです!
http://www.mightycrown.com/news/2015/07/international-reggae-daymighty-crown.html


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