7/08/2014

Fight for highlight - 注目を浴びるための戦い

今日は、昨日のSunday Gleanerに掲載されていた、音楽業界が最近抱えている悩みについて書かれた記事をご紹介。

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今年に入り、音楽業界は若手アーティストに関して多く議論され、悩まされているようだ。その議論の多くは意識的にメディアの気を惹くための試みについてなんだそう。

現在の若手のアーティストは顔や目にタトゥーをしている。そしてセックスビデオを撮ったり、人気を集めるためなら本来タブーと呼ばれていたことまでやっている者もいる。

The Sunday Gleanerは数名の若手新人アーティストにインタビューし、彼らがジャマイカの音楽業界が若手を置き去りにし、また、ビジネスにおいてより高いレベルにあがっていく可能性すら制限してしまっている、と思っていることがわかった。アーティスト達の話によれば、成功への鍵は才能がすべてではなく、また一方でお金の集まる場所にいなければならないと言う。

新人ダンスホールアーティストのMasickaはアーティストとして売れるために既に売れているアーティストと提携するという戦略を使っている。彼は最近Konshensとレコーディングの契約を結んだ。それはスポットライトへの道にはいささかおおざっぱではあるが。彼曰く、他のアーティストの中には話題にのぼるようなふざけたことだけをしてメディアや人々からの注目を集めるような人もいるんだとか。

■良質な音楽

「この業界はハードだ。ライバルも多くてキツい。それにジャマイカは小さな国だからね。人気を得ることだけ考えたら、そのために本来の自分ではないキャラクターを作ることだってある。けど一度いい音楽を世に広めることができたら、それは真の才能だってことさ。そしたら人は自分の所に集まってくるし、その後に人々の持つ自分へのイメージを変えることだってできる」

Masickaはメディアはたいていの場合、すでに世に出たアーティストに注目する、と言う。そしてその人たちと競争するにはかなり大変なことだし、張り合ってビデオクリップを作ったり、ラジオで頻繁にプレイされるようになるまでには実はかなりお金がかかる。また彼はすでに売れてる人たちは新人アーティスト達とともにスポットライトに当たることを嫌がるし、それが音楽業界の足を引っ張っていると強調した。

「年上のアーティストたちは、そいつが自分の輪の中にいないやつだったら、そいつをブロックする。それがジャマイカのすべてさ。この国の政治家だって自分の座ってる席(権力)は死ぬまで若手には譲らないからね。」

また、こういった話題作りによるプロモーションに対して警戒していると言う。大して才能を持たない、有名になりたいだけのアーティストが業界全体のレベルを下げることになるからだ。

「リスナーの中にはそのアーティストの個人的な問題を気にせず応援するひともいる。一方でそれに気付いて支持を止める人たちもいる。となるとそこまで。でも、いい音楽は人々の気持ちを変えることだってできる」

毎年新しい才能が出てくるアメリカの音楽業界を比較してみよう。アメリカの若くて才能のあるアーティストは毎年海外の大きなイベントに出てショーのトリをつとめる。また、ショーの最後をベテランのアーティストに頼りがちなジャマイカの音楽業界と違い、アメリカのヒップホップ雑誌XXLは、毎年ヒップホップとR&Bの若い才能のあるアーティストを発掘し、特集をすることで知られている。

早々にスターダムに乗ったルーツレゲエのアーティストJesse Royalに話を聞くと、ジャマイカで露出を得ることの難しさが若いアーティストにとって次のレベルに進むことを阻んでいるのではないかと言う。それが間違ったプロモーション戦略に行きついてしまう。Jesse Royalはこの業界の"bandwagon mentality"(= 流行に乗っかる体質)を非難する。

「若いアーティストは小さな子供のようなんだ。だから人気のためなら何でもやる。だけど俺が思うに、皆自分のブランドというものをしっかりコントロールしないといけない。ジャマイカでは、この先の自分の方向性を考えていなかったり、流行に乗って一山当てたいと思ってる人が多いんだ。」

■消え行くアーティスト達

ジャマイカに数あるタレント発掘エンターテイメント番組、Tastee Talent Trail、Magnum Kings and Queens of Dancehall、Digicel Rising Stars Dancin'  Dynamiteなどなどここにはジャマイカの才能がたくさん集まる場所だ。しかしながら、勝者でさえもその業界に食い込もうとしてもこういった業界の体質ゆえ、その努力むなしく消えていくことが多いんだとか。

こういったローカルの才能を潰すことが広く知られている中で、Tessanne Chinは昨年のThe Voice(アメリカの歌唱コンテスト番組)で他のアメリカ生まれのライバル達を蹴散らし優勝している。人々は彼女の声に酔いしれるとともに、多くの人がなぜ彼女がジャマイカでトップボーカリストの一人として認められていないのか疑問に感じているという。実際彼女がこれまでリリースしている曲でまだヒットしていないものもたくさんあるのだ。

記事原文: http://jamaica-gleaner.com/gleaner/20140706/ent/ent1.html

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業界の排他的な体質と、音楽業界だけに限らない、ジャマイカ人に多いハイプ狙いの性格の両方が、負の方向へのスパイラルへと導いている気がします。どちらも問題ですが、浅はかな知識やスキルで簡単にお金を稼ごうとする人の多さといったら・・・

また、本文にもありましたが、こういった考え方を生む理由の一つとして、将来の方向性を考えていない事も問題で、高校を卒業してから仕事もせずに家にいる人はけっこういるのが実情です(これは貧困層、富裕層どちらも)。ちなみに、この国は職が不足しているということはありません。求人広告はいつでもたくさん出ています。皆やりたくないことはしない、それだけです。

さて、いつも通りの様々な問題が絡み合ってできるこのジャマイカの体質、今後、この国の音楽業界はどうなっていくのでしょうか。ジャマイカが世界に誇れる素晴らしい音楽レゲエの"真の才能"がどうか消えることなく人々の心に残りますように。

もう一つ、Twitterにも書きましたが、現在ジャマイカでは水不足が深刻になってきています。最後に雨がまともに降ったのはいつだろう?というほど雨を見ていません。日常生活にも支障が出てくる可能性が高まり、断水するエリアもありますので、ジャマイカに来る予定のある方は宿泊先選びにご注意を。(Staff)


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